レンタカー特約だけを使うとどうなる?
交通事故に遭遇し、マイカーを修理に出している間の代替車を借りる費用を賄うことができるレンタカー特約。
お子さんや高齢者の方と同居している方や、通勤通学等生活の足として車が欠かせない方、特定のサイズや仕様の車が必要な方などに人気のレンタカー特約ですが、実際にレンタカー特約を使用した場合、任意自動車保険の等級や次年度の保険料金にはどう影響するのでしょうか。
レンタカー特約だけを使っても等級や保険料金に影響しない!さらに・・・
実務中、レンタカー特約のことでよく受ける質問といえば・・・
- マイカーで単独事故をしたが、マイカー自体は軽微損害で車両保険は使用しない方針。
しかしレンタカー特約を付帯しているのでマイカーを修理している間はレンタカー特約でレンタカーを借りたい。
レンタカー特約だけを使用したいのだが、レンタカー特約は適応されるのか、また、等級や事故有係数はどうなるのか。
レンタカー特約だけを使用するのであれば次年度の等級に影響がなく、事故有係数も発生しません。
なぜならレンタカー特約は主契約ではなく、主契約にぶら下がる特約だからです。
レンタカー特約に限らず、特約は使用しても原則的に等級には影響せず、事故有係数も発生しません。
レンタカー特約は対物賠償保険や車両保険、対人賠償保険の主契約(メインの保険種目)ではなくオプションで付帯する特約で、レンタカー特約の場合は車両保険のオプションで付帯することができます。
主契約の対物賠償保険や車両保険、対人賠償保険のいづれか1つでも使用すると、次年度の任意自動車保険の更改時に等級が3等級(盗難・いたずら等なら1等級)下がり、その分翌年からの保険料は値上がりします。
さらに、主契約の対物賠償保険や車両保険、対人賠償保険のいづれか1つでも使用すると、任意自動車保険を契約する際の契約係数テーブルが今までの無事故係数テーブルから、3等級ダウン事故の場合なら3年間、1等級ダウン事故だら1年間の間、事故あり係数テーブルで契約することになります。
結果、主契約である対物賠償保険や車両保険、対人賠償保険のいづれか1つでも使用すると、保険料の割引率が下がり、同じ等級になったとしても保険料は無事故係数テーブルの時よりも値上がりします。
では、主契約ではないオプションのレンタカー特約はどうでしょうか。
実は、主契約ではなくオプションで付帯するレンタカー特約だけを使用しても等級や保険料に何も影響がありません。
レンタカー特約を使用するに際しては使用する為の条件がありますが、レンタカー特約だけを使用するのであれば等級や保険料金に影響は出ませんし、無事故係数テーブルから事故あり系数テーブルに立場が移ることもないので安心してレンタカー特約だけを使用することができます。
レンタカー特約を使用できる条件・できない条件
等級や保険料に影響がなく、さらに無事故係数テーブルのまま次年度も任意自動車保険の更新が可能なレンタカー特約。
便利なレンタカー特約でも使用できる条件とできない条件があります。
ある任意自動車保険会社のレンタカー特約の約款を抜粋しましたので、その約款を見ながら細かく確認してみましょう。
第2条 (この特約の適用条件)
この特約は、被保険自動車に普通保険約款車両条項の適用がある場合であって、かつ、保険証券にこの特約を適用する旨記載されているときに適用されます。
この約款の第2条では、普通保険約款車両条項の適用がある場合とあるので、車両保険が使用できる状況下であることが前提で、レンタカー特約は使用可能です。車両保険を使用しない限りレンタカー特約は使えないというわけではないですね。
第3条(レンタカー特約の保険金を支払う場合)
(1) 当会社は、普通保険約款車両条項および基本条項(注1)の規定により保険金支払の対象となる事故に伴い、契約自動車に損害が生じた場合で、契約自動車に生じた損害の修理等により、契約自動車が使用できなくなったときは、被保険者がレンタカー(注2)を借り入れる費用を負担したことによって被った損害に対して、この特約に従い、第4条(レンタカー特約保険金の支払額)に定める金額をレンタカー特約の保険金として被保険者に支払います。
(注1) 契約自動車について適用される他の特約を含みます。
(注2) 当会社が利用について承認したものに限ります。
(2) (1)の規定にかかわらず、契約自動車が自力で走行できる場合で、被保険者がその損傷を修理しないときは、当会社は、レンタカー特約の保険金を支払いません。
第3条では、マイカーが自力走行可能な場合で、マイカーを修理しない場合はレンタカー特約は支払わないこと謳っていますので、こういう点も注意が必要ですね。
厳しい任意自動車保険会社だと、マイカーに自力走行可能な軽微損傷を被っている状態で修理せず乗換える場合はレンタカー特約が使用できないと言われる可能性がありますね。
第4条(レンタカー特約の保険金の支払額)
当会社は、1回の事故につき、この特約に従い、次の算式によって算出した額をレンタカー特約の保険金として被保険者に支払います。
(注1) 1日につき支払日額を限度とします。
(注2) 次条(1)に定める期間を限度とします。
実際に支払う保険金の計算方法を示しています。
自己負担日額なしで日額5,000円のレンタカー特約にて10日間レンタカーを使用した場合は下記の通りです。
(5,000−0)×10=50,000円 → レンタカー保険金は50,000円
最近では自己負担日額のあるレンタカー特約は見かけなくなりましたが、この自己負担日額があるかないかも付帯する際に注意が必要ですね。
第5条(レンタカー特約の保険金の支払対象期間)
(1) 前条の場合において、レンタカー特約の保険金の対象となる費用は、次のいずれかに定める期間に被保険者が利用したレンタカーにかかる費用に限ります。
@ 契約自動車の損傷を修理することができない場合、または契約自動車が自力で走行できない場合であって、被保険者がその損傷を修理しなかったときは、事故日(注1)から次のうちいずれか早い日まで
ア.事故日(注1)からその日を含めて30日後の日
イ.保険金支払日
ウ.契約自動車の代替自動車を新たに取得(注2)し、または1年以上を期間とする貸借契約により借り入れた日
A 被保険者が契約自動車の損傷を修理した場合は、事故日(注1)から次のうちいずれか早い日まで
ア.事故日(注1)からその日を含めて30日後の日
イ.契約自動車が、修理完了後、保険契約者、被保険者または契約自動車の使用者(注3)のいずれかの手元に戻った日。ただし、保険契約者、被保険者または契約自動車の使用者(注3)の責に帰すべき事由により納車日が遅延した場合は、その遅延がなければ手元に戻ったであろう日とします。
(注1) 保険契約者、被保険者またはこれらの者の代理人が書面をもって「事故日」を「修理工場に入庫した日」とする旨を申し出て、当会社がこれを承認した場合はその修理工場に入庫した日とします。
(注2) 所有権留保条項付売買契約に基づく購入を含みます。
(注3) 契約自動車の自動車検査証の使用者欄に記載された者をいいます。
第5条は長文ですので前半と後半に分けました。
第5条(1)の@は、あなたの車が物理的、もしくは経済的に修理不可能だった場合のレンタカー特約の対応条件を謳っています。
「イ.保険金支払日」とは、レンタカー特約の保険金ではなく、車両保険の保険金の事も含めて指す場合が多く、注意が必要です。
ですから車両保険金が早くほしい場合は、それに伴ってレンタカーも早く返却しなければならないということが言えます。
第5条(1)のAは、あなたの車が修理可能だった場合のことを謳っています。
Aのイ.は、レンタカーの認定日数が必ずしも実修理預け日数ではないことを謳っています。
例えばあなたの車を修理に預けている間に、あなたがレンタカーで旅行に行ってしまい、あなたの車の修理後の納車引き取りがその旅行のせいで10日間遅延した場合はその日数は認定せずにその日数を省いた残りの日数分のレンタカー特約の保険金しか支払いません。ということですから、過度な引き延ばしは避けるべきです。
(2) (1)の規定にかかわらず、契約自動車の盗難を原因としてレンタカー特約の保険金を支払う場合は、前条におけるレンタカー特約の保険金の対象となる費用は、次のいずれかに定める期間に被保険者が利用したレンタカーにかかる費用に限ります。
@ 契約自動車が発見されなかったことにより、または発見されたが損傷していたことにより、当会社が普通保険約款車両条項および基本条項に従い、全損として保険金を支払うべき場合は、警察届出日(注1)から次のうちいずれか早い日まで
ア.警察届出日(注1)からその日を含めて30日後の日
イ.保険金支払日。ただし、保険契約者または被保険者の責に帰すべき事由により保険金の支払が遅延した場合は、その遅延によって増加した日数を除きます。
A 契約自動車が発見された場合であって、@以外のときは、警察届出日(注1)から次のうちいずれか早い日まで
ア.警察届出日(注1)からその日を含めて30日後の日
イ.契約自動車が発見されて、保険契約者、被保険者または契約自動車の使用者(注2)のいずれかの手元に戻った日(注3)。ただし、保険契約者、被保険者または契約自動車の使用者(注2)の責に帰すべき事由によりこれらの者の手元に契約自動車が戻るのが遅延した場合は、その遅延がなければ手元に戻ったであろう日とします。
(注1) 保険契約者または被保険者が盗難にあったことを警察官に届け出た日をいいます。
(注2) 契約自動車の自動車検査証の使用者欄に記載された者をいいます。
(注3) 発見時における契約自動車の損傷の状態により修理が必要な場合は、修理完了後手元に戻った日をいいます。
第5条の(2)はあなたの車本体がそのまま盗難に遭った場合を想定したことが謳っています。
@はあなたの車がどこかで発見された場合、Aは発見されなかった場合を想定しています。
基本的な考え方は第5条の(1)の考え方と同じですね。
レンタカー特約を使用する時の手順
レンタカー特約を実際に使用する際の手順はどうすればいいのでしょうか。
その際の注意点を箇条書きにしてみましたのでご参考ください。
レンタカー特約を使用する上での注意点 :
- レンタカー特約の契約内容(特に日額いくらのレンタカー特約なのか)をきちんと把握しておくこと。
- レンタカー特約の付帯があることを修理工場と任意自動車保険会社に必ず申し出ること。(付帯確認もする意味合いで申し出することが望ましい)
- 旅行先等で早急にレンタカーが必要な時は任意自動車保険会社の事故受付に交通事故の報告をした際に申し出ること。
- 極力自分の独断でレンタカーを勝手に予約したり、手配したり、借りたりしない。
また、標準的なレンタカー特約使用の際のイメージは下記の通りです。
交通事故に遭ったマイカーが自力走行可能な時、レンタカーはこう借りる
マイカーが自力走行可能な場合は、マイカーを修理する修理工場でマイカーとレンタカーを入れ替えるのが基本です。
手順1.警察と任意自動車保険会社の交通事故受付センターに交通事故の報告をする
- 任意自動車保険会社の交通事故受付センターに交通事故発生を報告するタイミングでレンタカー特約使用希望を申し出する。
- 交通事故交渉担当者から連絡が来るまで待機となるので、その間に修理先の修理工場に修理依頼の連絡をしておく。
手順2.修理工場へ連絡をする
- 修理工場の担当者に自分が交通事故に遭った旨を伝え、マイカーの損傷状況や修理の日程を打合せをする。
その際にレンタカー特約を使用しレンタカーを使用したい旨を申し出る。
- 修理工場の担当者へ、自分の任意自動車保険会社から連絡がいくことを伝えて終話する。
手順3.任意自動車保険会社の交通事故交渉担当者から連絡が来る
- 任意自動車保険会社の交通事故交渉担当者から連絡が来たら、修理先の修理工場の名前と連絡先を尋ねられるので、伝えておく。
- その際にレンタカー特約使用希望を申し出る。
手順4.任意自動車保険会社の交通事故交渉担当者と、修理工場の担当者で打合せが行われる
- 交通事故交渉担当者と修理工場の担当者との間で打合せがなされる。
具体的には車両保険の付帯額やレンタカー特約の付帯額の擦り合わせやレンタカー手配をどちらが行うのかを(任意自動車保険会社側からレンタカー会社に手配をかけるのか、それとも修理工場からレンタカー会社に手配するのか)打合せる
- 任意自動車保険会社の交通事故交渉担当者と修理工場の担当者との間で打合せ完了後、大抵の場合は修理工場担当者から自分に連絡が入り、預入日の打合せ、確定となる。
手順5.マイカーの修理預入日
- 修理工場にて、乗ってきたマイカーを修理工場に預け、具体的な修理の打ち合わせを行い(決済方法、交通事故の具体的状況の擦り合わせ、修理箇所や修理技法)、用意されたレンタカーで修理工場を後にする。
手順6.マイカーの修理完了日
- 修理完了したら修理工場の担当者から自分に連絡が来る。
- マイカーを取りに行った先で修理が終わったマイカーと借りていたレンタカーとを入れ替えて完了。
(当然だが交通事故交渉担当者からは修理完了の連絡は入ってこないのであしからず。)
交通事故に遭ったマイカーが自力走行不可能な時、レンタカーはこう借りる
マイカーが自力走行不可能な場合、レンタカーを借りるパターンは下記のように3パターンあります。
- 修理予定の修理工場の人に交通事故現場にレンタカーを持ってきてもらう。
- 後日自宅にレンタカーを届けてもらう。
- 後日修理先(もしくはレンタカーのお店に取りに行く。
ここでは、上記3パターンのどれにも当てはまりやすい手順を記載しています。
どのパターンでレンタカーを借りたいかはその時々の状況によって任意自動車保険会社や修理先の修理工場の担当者と相談・打合せをしましょう。
手順1.警察と任意自動車保険会社の交通事故受付センターに交通事故の報告をする
- 任意自動車保険会社の交通事故受付センターに交通事故発生を報告するタイミングで、レッカーの手配とレンタカー特約使用希望を申し出する。
マイカーが自走不可であることを伝え、修理先の修理工場が決まっている場合は、修理工場うの名前と連絡先を伝える。
- 警察へ交通事故発生の報告をする。
警察との通話内容一例 :
- 事故現場はどこか →
- ケガ人有無 →
- 救急車の必要有無 →
- 火災有無 →
ちなみに自動車のガソリンタンクは給油口の付近にある。
- レッカー搬送必要有無 →
※ 任意自動車保険会社によっては、任意自動車保険会社からレッカー搬送の手配をしないとレッカー費用が保険から賄われない場合があるので注意が必要。
手順2.修理工場へ連絡をする
- 修理工場の担当者に自分が交通事故に遭った旨を伝え、マイカーの損傷状況を報告する。
その際に任意自動車保険会社やレッカー業者から連絡がいく旨を伝え、レンタカー特約を使用しレンタカーを使用したい旨を申し出る。
手順3.任意自動車保険会社の交通事故交渉担当者から連絡が来る
- 任意自動車保険会社の交通事故交渉担当者から連絡が来たら、修理先の修理工場の名前と連絡先を尋ねられるので伝えておき、その際にレンタカー特約使用希望を申し出る。
手順4.任意自動車保険会社の交通事故交渉担当者と、修理工場の担当者で打合せが行われる
- 交通事故交渉担当者と修理工場の担当者との間で打合せがなされる。(契約内容擦り合わせ、レンタカー手配の件等)
手順5.手順4で決まったことのフィードバックがくる
- レンタカーが即日手配になるのか後日手配になるのかを確認。後日手配ならその打合せをする。
手順6.修理工場と修理の打合せ
- マイカーを修理する修理工場と決済の事や修理についての打合せをする(損傷に応じた修理技法、その他懸念事を解消・相談する)
- 電話で済ますこともあるが修理工場でマイカーを確認しながらの打合せの方が望ましい。
- 全損の可能性があるなら乗り換え等の打合せも必要。
手順7.修理完了後納車日
- レンタカーで修理工場に出向き、レンタカーとマイカーを入れ替えて帰宅。
- 場合によっては修理工場の担当者がサービスで届けてくれることもあるので、希望があれば相談してみる。
なお、修理費用の決済は下記パターンの通り
- 任意自動車保険会社から修理工場に直接支払ってもらう。
- 自分で立て替え払いをした後に任意自動車保険会社から支払ってもらう。
- 車両保険使用を保留し決済を待ってもらう。
(車両保険を使用するなら任意自動車保険会社と修理工場とで連絡を取り合い、決済完了)
(カード決済でTSキュービックやポンタカード、その他マイルを貯めたいならこのパターンが有効)
(決済ではないが、保険を使用すべきか使用しないべきか、判断が難しい状況の場合はその旨申し出て、修理工場の指示に従う。)
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